『ザ・コーヴ』にみるドキュメンタリィに対する考え方をさらしてみる

7月3日に今話題の映画『ザ・コーヴ』が上演開始されました。
オフィシャルサイトの監督からのメッセージ”を引用しながら突っ込みたいと思います(需要あるのか!?)

ザ・コーヴ』が日本で賛否両論を巻き起こすことは予想していました。そしてその予想通り、「反日映画であり、日本の文化や伝統を理解していない」と、広く批判され始めています。しかしこの映画は、日本ではまだほとんど見られていないはずです。実際、日本での上映は昨年の東京国際映画祭の2回のみです。はっきりとは言えませんが、映画を批判している人たちの多くはまだ映画を見ていないのではないでしょうか。単純に、まずはこの映画を観てから判断していただきたいのです。

 確かに、映画を批判する人はほとんどこの映画を見れていないというのは確かです。と言いつつ自分の地元でも未だ上映されていないので自分も見れていないのですが…

私はダイバーであり、水中カメラマンでもあるので、海の環境が汚染され破壊されていくのを間近で見てきました。そこで、そのような海洋環境に関する懸念を広く伝えるため、慈善団体OPSをスタートさせました。私は地球存続には海洋保護が重要だと思っており、それには大きな情熱を持っています。仲間たちと『ザ・コーヴ』の制作を決めたのも、海からのメッセージを伝えるためです。そして、映画というメディアを使うことにしたのは、それが世界で最も力を持つ“創造力の武器”だと考えたからです。

 この映画って海洋保護をテーマにした映画なんですかね?いやイルカ保護は海洋保護なんでしょうけれど、NHKでドキュメンタリィ作家が言っていたように「ロッキー」的な、勧善懲悪の香りがぷんぷんするんですけど。映画の認識はま、あ正しいとしておきます。


太地町でイルカ殺しの撮影を始めると、当初予想していた以上のことが明らかになりました。それは、イルカ肉(クジラ肉と偽装表示されることがありますが)や魚介類を食べることにより、水銀中毒に侵されるという驚くべき事実でした。私は寿司が大好物で、これまで多くの魚介類を食べてきましたが、撮影を進める中で、自分自身の水銀レベルが危険な域まで達していることを知りました。イルカの肉は有毒です。水俣病の悲劇の後、日本で設けられた世界で最も厳しい規制値だけでなく、どの国の基準値も上回るレベルです。実際に日本で検査されたイルカ肉の多くは、水俣病を引き起こした魚よりも高いレベルの水銀値をもっていました。


 水銀のことに着目したのは、撮影し始めてからなんですね。ただ、水俣病を引き起こした魚よりも高い水銀地を持っているのにもかかわらず、健康被害が出ないのは何ですかね。

私は諸外国の文化やその伝統を重んじています。日本人に対しても尊敬の念を持っていますし、日本の友人もいます。今回の撮影のために何度も日本を訪れ、日本の友人がさらに増えました。私は彼らの友人として、海の苦境や水銀中毒を知らせるべく、映画というかたちで日本に手を差し伸べたのです。『ザ・コーヴ』は反日映画ではありません。映画を制作した私自身が反日ではないのですから。

 ふーん。ま、反日映画ではないというのは認められうるのだろうけれど、欧米的なアジア人を見下した感じがアリアリなんだよね…。


45秒でこれら全てを伝えることは到底無理だったと思いますが、以上が私の伝えたかったことです。『ザ・コーヴ』はメダリオンメディアとアンプラグドによって、まもなく日本でも公開されます。両社はすべての問題について、どちら側の意見にもつきませんが、私がこれまで話をした他の日本人と同じように、この映画が日本で上映されるべきで、これについて考え、討論されるべきだと信じています。もし招かれれば、私は喜んで討論に参加します。そして何よりも、日本人にこの映画を観てもらいたいし、考え、判断してほしいと熱望しています。私は、日本の方々にはそれができるはずだと信じています。


もちろんこの映画は上映されるべきで、それに対する漁村の方々に対する配慮も上映時には対処されているみたいですから。





 ところで、“これはドキュメンタリィ映画ではない、プロパガンダ映画である”みたいな言い方をする人がいるんだけどそもそもじゃドキュメンタリィって何さ?
 自分はドキュメンタリィとは事実ではなく視点だと思う。正直に言ってドキュメンタリィを事実の記録として見ている人は、多分ドキュメンタリィを見ていない。ドキュメンタリィがドキュメンタリィとして成り立つには、記録する媒体が必要だし、記録するという行為はファインダーを覗いて、風景を切り取る操作でもある。その切り取り方が非常に難しいし、その監督の個性が見せられるところ。
 「いのちの食べ方」という映画はその点で秀逸だったと思う。

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